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南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

 (15)その後―下の娘


《9月―頭の痛い季節》 ~2003年9月の記録

 ∬第15話 その後―下の娘の場合

下の娘の幼稚園での一部始終は夫にも報告してあった。
夫はほとんどの点で私と同意見だったが、唯一私には決断のつかないバレエのレッスンについては、きっぱりと「必要ない」と反対した。

夫が滞在中のある日、園長と直接話し合いの場を持ちたくて園に出掛けていった。
しかし常に忙しそうに立ち回っている園長は、私たち二人が顔を揃えているところを見るなり長話になる予感がしたのか、園の入り口で出くわしたのを幸いと、立ち話で一方的に説明を始めた。
バレエのこと。教科書のこと。インフルエンザの予防接種のこと。

バレエは、コンセルヴァトゥワルの教師と交渉し、同じ大学施設のよしみで60ミリオンで教えてくれる話がついたこと。希望者は玄関の壁に貼られた紙に名前を書いてもらうようにしたこと。
教科書はすでに決定済み。私たち父兄が口を挟む余地はすでになかった。
多すぎる、高すぎる、必要性は疑問と担任教師にも訴えていたのだが、要するにお金の問題だけと受け取られたようだった。希望者はコピーしてもいいが、子供本人が悲しむという配慮から全員が一部ずつ購入すること。一度では大きいだろうから、2度の分割で払ってもらうこと。
予防接種は希望者のみで、バレエ同様、玄関の壁に貼られた紙に名前を書いてもらい、10ミリオン実費で払ってもらうこと。(当時、10ミリオン=約780円)

話を聞きながらも、またイライラしてくるのが自分でも分かった。
詳細がハッキリしているのなら、それを書面にしてセルビス(通園バス)での送り迎えの時に届けてくれればいいこと。それに、予防接種の話は、まったくの初耳。
聞かないかぎり、催促しない限り、園に顔を出さない限り、必要な情報は得られないのだった。わざわざ足を運ばなかったばかりに知らずに終わったことも、過去何度なくあったに違いなかった。

いずれにせよ、すでに決まったことなら、否応なかった。
教科書代として2回の分割のうち初回の40ミリオンを、さらにインフルエンザの予防接種料金10ミリオンを手渡すと、夫とも顔を見合わせ、今日はこれくらいでいいか、と早々に退散することにしたのだった。
園長の態度には、実際予定が詰まっていたのかもしれないが、それ以上の話は受け付けない、とでもいうような雰囲気が漂っていたから。
懇談会でもリクエストした1日、1週間のプログラム表のことは、夫からも一言催促してもらうことができたが、前々から気になっていた給食内容については、また今回も話し合いの場を持つことができなかった。

あの懇談会の後、毎週金曜日には達成表とでもいうか、例のレポートが届くようになったが、その週にどんな遊び、学習が行なわれたかのレポートは、相変わらずもらうことができない。もちろん、それに代わる予定表も作成されていない。
学校で描いた絵や作った工作、作品は、ほとんど自宅には持ち帰ってこない。

娘はすでに園の環境にも、セルビスで通うことにも慣れ、担任教師にひどく懐いているので、園を移ることは今のところ考えられない。
だからこそ、園の運営内容や教育内容、子供たちの日々の様子が私たち父兄により多く伝わるように、また父兄の意見にも耳を傾け、改善すべき点は速やかに改善する、その努力と工夫とを望みたいと思うのは、過ぎた願いなのだろうか?

娘が園をやめる日まで、あるいは卒園する日まで、私の闘いは終わることはないだろう。いかに煙たがられようと、私には、納得がいくまで何度でも足を運ぶ覚悟だけはできていた。
 

 おわり



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